『こうもりクラブプロデュース 星降る夜のクリスマスオイリュトミー』振り返り 其の一

昨年12月23日の『こうもりクラブプロデュース 星降る夜のクリスマスオイリュトミー』公演からあっという間に2ヶ月が過ぎました。

その間、公演の制作業務をこうもりクラブで頑張って進めています。
私自身といえば、終演後すぐに笠井叡新作 天使館ポスト舞踏公演 『牢獄天使城でカリオストロが見た夢』の稽古に合流し息をつく暇もなくもう2月の半ばとなりました。


『こうもりクラブプロデュース 星降る夜のクリスマスオイリュトミー』は、こうもりクラブの三人(三上周子、清水矢須江、野口泉)が、それぞれソロ作品をじっくり稽古するという目標がまずありました。

それに、若手のオイリュトミスト清水隆陽路さん、同じく新進気鋭の若き女優の角田萌果さんがデュオ作品で加わってくださり、ソロ、デュオ作品の柱が決まりました。

さらに、Lands and Skies のユニットを組まれている尾崎梓さん、尾崎行輝さん、コルヴスなどの活動で多岐にわたり活躍されているオイリュトミストの定方まことさんの出演が決まり、作品と表現力の豊かさがより幅広いものになりました。

定方まことさんには、作品のラストをしめる音楽の群舞作品のオイリュトミーフォルム作成と指導もご依頼しました。クリスマスらしい曲をこうもりクラブで選定したものを、定方さんが素晴らしいフォルムに立ち上げてくださいました。

群舞作品では普段なかなか実現することの難しい、幅広い年齢層のオイリュトミスト達が一同に会することができたのも素晴らしい経験となりました。特に、若手の清水隆陽路さんと経験豊かな先輩オイリュトミストの共演が実現できたのも嬉しいことでした。
稽古において、それぞれのオイリュトミストの動きの質をお互いが意識し合いながら馴染ませていく作業は、自分の動きの良さを保ちつつも、他者の中に溶け込んでいくような得難い感覚がありました。

こうもりクラブのフェイスブックページで【出演者へのインタビュー】【オイリュトミー豆知識】がお読み頂けます。https://www.facebook.com/koomori.club

今回の公演では、角田萌果さんという俳優とのコラボレーションを行うという新しい挑戦もありました。萌果さんには作品冒頭の重要なセリフを言ってもらい、その言葉が作品全体を通した一つの通奏低音として響くような構成になっています。

同時にオイリュトミストであり、雑誌編集者でもある尾崎行輝さんにも俳優パートの大きな部分を担当してもらいました。この行輝さんの「メフィストフェレスの誘惑」と題された3パートはライナー・ヴェルナー・ファスビンダーのTV作品「ブレーメンの自由」から着想を得ました。

作品全体のカラーは1920年代のベルリン。
衣裳の富永美夏さんに、アルフレート・デーブリーンの小説『ベルリン・アレキサンダー広場』をR・W・ファスビンダーがテレビシリーズ化した映像から、それぞれの出演者の衣装イメージを起こしてもらいました。衣裳をまとうことで出演者それぞれのキャラクターが現実世界に一気に立ち上がってきました。

富永美夏さん衣裳イメージのスケッチより


©︎『こうもりクラブプロデュース 星降る夜のクリスマスオイリュトミー』写真撮影:袴田和彦 照明:吉田一弥


素晴らしい舞台写真の数々はただいま公開準備中です。
『こうもりクラブプロデュース 星降る夜のクリスマスオイリュトミー』配信映像 (こちらも公開準備中)と合わせて、もう少しでお届けできると思います。どうぞご期待下さい。

投稿者: izumi noguchi

野口泉 オイリュトミスト 武蔵野美術大学映像学科卒。 2002年より舞踏家笠井叡に師事、オイリュトミーを学ぶ。オイリュトミーシューレ天使館第三期及び舞台活動専門クラスを経て、愛知万博「UZUME」(2005)「高橋悠治演奏「フーガの技法とオイリュトミー」(2008、2010)、「ハヤサスラヒメ」(2012)、「蝶たちのコロナ」(2013、2014)、「毒と劔」(2015) など様々な公演に出演。放射能からいのちを守る山梨ネットワークいのち・むすびばとの共同公演「アシタノクニ」や、仙台・月のピトゥリとの人形劇(正確には”にんぎゃうじゃうるり”)「きつねおくさまの!ごけっこん」(2014)、シュタイナー農法研究会(「種まきカレンダーを読み解く」2014)などを開催。近年はシュタイナー系の幼稚園で幼児教育に関わる。また各地でオイリュトミーワークショップを行う。オイリュトミーに関わるイベントを企画する「レムニスカート」を主宰。