記憶の中に生きる

閉店のお知らせや、長いこと空き店舗となっている建物が目立つ。

コロナ渦中であるから尚更だ。

四十年、五十年と続いてきた店舗が閉まる時、自分が万物流転の世にあることを思い知る。

「この世のすべてのものは常に変化し続ける」

その言葉は私に安堵と寂寞を感じさせる。

万物流転が真理であるが故に私たちは老いを受け入れることができる。しかしまたそれを受け入れ難くも感じるのは思い出というものがあるからだ。

思い出とは経験、記憶。個人の歴史。それを切り捨てることは難しい。

老人は思い出の中に生きるという。良い思い出はそれほど大切なものであるらしい。

何が良い思い出となって将来自分の糧になるのか、それはまだわからない。

きっと自分でも思いも寄らない些細なことであるような気がする。

投稿者: izumi noguchi

野口泉 オイリュトミスト 武蔵野美術大学映像学科卒。 2002年より舞踏家笠井叡に師事、オイリュトミーを学ぶ。オイリュトミーシューレ天使館第三期及び舞台活動専門クラスを経て、愛知万博「UZUME」(2005)「高橋悠治演奏「フーガの技法とオイリュトミー」(2008、2010)、「ハヤサスラヒメ」(2012)、「蝶たちのコロナ」(2013、2014)、「毒と劔」(2015) など様々な公演に出演。放射能からいのちを守る山梨ネットワークいのち・むすびばとの共同公演「アシタノクニ」や、仙台・月のピトゥリとの人形劇(正確には”にんぎゃうじゃうるり”)「きつねおくさまの!ごけっこん」(2014)、シュタイナー農法研究会(「種まきカレンダーを読み解く」2014)などを開催。近年はシュタイナー系の幼稚園で幼児教育に関わる。また各地でオイリュトミーワークショップを行う。オイリュトミーに関わるイベントを企画する「レムニスカート」を主宰。 izumi noguchi のすべての投稿を表示