『田舎司祭の日記』をスクリーンで!

 6月7月と気になっていたけど稽古がつまっていて行けてなかったロベール・ブレッソン監督の『田舎司祭の日記』、まだやっていてやっと見ることができた。

日本では70年の時を経ての初劇場公開とのこと。見るのは20年ぶりくらいぶりだが当時と受けた印象が全く違った。

 新任司祭が村人にひたすら酷い目に遭う映画だと思っていたが、案外そうでもなく、司祭は自らも信仰に迷いながらもしっかりと司祭の言葉で人を救っていた。誤解を受けても弁解せず、窮地に立たされても甘んじでそれを受け入れる姿勢にやきもきしながらも深く感動。

 第二次世界大戦終結後間もない1950年に作られたこの映画の中で「神など信じない、むしろ憎しみの対象だ」という村人たちの姿勢はそのまま当時の空気感を反映しているようだ。映画が始まると、70年前の風景と人、そのみずみずしさがリアルに蘇ってくる。 
 
 2013年公開の『プリズナーズ』(監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ)という映画でも同様の”神に唾する”人物たちが描かれているが、時代の表現はどんどんヒリヒリとしたものになっている。しかしこちらの映画もかなり興味深かった。見るのは辛いが…

 胃を病み弱り果てた体で村人たちと向き合い続けた司祭の最期の言葉には本当に驚いた!

投稿者: izumi noguchi

野口泉 オイリュトミスト 武蔵野美術大学映像学科卒。 2002年より舞踏家笠井叡に師事、オイリュトミーを学ぶ。オイリュトミーシューレ天使館第三期及び舞台活動専門クラスを経て、愛知万博「UZUME」(2005)「高橋悠治演奏「フーガの技法とオイリュトミー」(2008、2010)、「ハヤサスラヒメ」(2012)、「蝶たちのコロナ」(2013、2014)、「毒と劔」(2015) など様々な公演に出演。放射能からいのちを守る山梨ネットワークいのち・むすびばとの共同公演「アシタノクニ」や、仙台・月のピトゥリとの人形劇(正確には”にんぎゃうじゃうるり”)「きつねおくさまの!ごけっこん」(2014)、シュタイナー農法研究会(「種まきカレンダーを読み解く」2014)などを開催。近年はシュタイナー系の幼稚園で幼児教育に関わる。また各地でオイリュトミーワークショップを行う。オイリュトミーに関わるイベントを企画する「レムニスカート」を主宰。