未完の肖像


未完の肖像



アガサ・クリスティは有名すぎて長らく手に取らずにいました。
ですが最近海外ドラマで『そして誰もいなくなった』を見てあまりのおもしろさに驚き、
それ以来時間があるときに読むようにしています。

めずらしく殺人が起こらない

『未完の肖像』はクリスティ作品のなかで、「ミステリ」ではなく「普通小説」という部類に入ります。ですので殺人が起こったり名探偵が出てきたりしません。

主人公の少女シーリアの生活の描写が延々と続きます。年頃のシーリアがアニー・ペザントの『神智学』を読んで退屈する場面なども出てきて興味深いところです。

読み進めていくと主人公シーリアとは、ほぼクリスティ自身の娘時代のことであることがわかってきます。

実人生と創造的な構成が見事にマッチング

非凡なようでいて平凡でもある一人の女性の人生。どこにでもある恋、だれもが抱く将来への夢、両親や周囲の人々の思い出。

才気煥発な少女の目を通して瑞々しく描写される時代。まるでタイムスリップしたような感覚におちいります。
500ページ越えの長編ですが飽きることがありません。

ファンタジー、ロマンス、そしてなんとサスペンスまで、全てが詰まっています。
一見地味だけど「こんなにすごい小説があったんだ!」と驚くことうけあいです。

読後、女版『バリー・リンドン』のようだと思いました。
本書を読み終わった後、アガサ・クリスティ自身への興味が湧いてきます。

まとめ

アガサ・クリスティ自身の生涯とほぼリンクした内容

長い小説なので通勤途中、仕事の気分転換に読み進めていくのにおすすめ

19世紀初頭のイギリス上流社会の風俗が興味深い

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