undone アンダン~時を超える者

undone

「アンダン」とは「元に戻す」の意味。交通事故のショックから見えないものが見えるようになった主人公が時空間を自由に行き来する、半ば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』的な、いわゆるタイムリープものの連続ドラマです。

一話が30分なので気軽に見始めて、エピソード1の全8話を一気に見てしまいました。

このアニメはロトスコープという実写をアニメに転換する手法が取られています。それが、何か独特の脳内麻薬的なサイケな世界観を醸し出しています。

主人公は全然お洒落でもなく、性格も攻撃的でやや高慢。誰にでもある(しかし普段なるべく出さないようにしている)、こういう部分を増幅したような女性です。ですが見ていくうちに、自分を偽らず、とにかく生き生きとして素直な主人公にどんどん惹かれていきます。

この主人公アルマが、物語冒頭でのあることに起を発する感情のたかぶりのまま車を暴走させ事故を起こします。

病院で目覚めたアルマは自分の周りの出来事が一定期間ループするようになり、時間軸が混乱してしまいます。

トム・クルーズ主演の、日本のラノベ原作映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(震えながら大爆笑できる好きな映画…!)と同じく、自分がたとえ死んでもリセットして失敗前に戻り、何度でもやり直すことができます。

感情を爆発させがちだったアルマは、病室でこの時間軸を操るスキルを上達させ、徐々に家族や恋人との関係性を修復していきます。

時に、主人公アルマのおばあさんが、統合失調症と診断された過去があり、お父さんはそのことについて調べている研究者でした。そんな来歴から、周囲の家族はアルマも統合失調症を発症したのだと思います。

しかし、当のアルマと観客である私たちに対しては、そこはボカされています。

はたしてアルマ(と、おばあさん)の特殊能力は、遺伝形質をなぞるだけのものなのか、はたまた非日常世界へと飛び立つ自由へのチケットとなりうるのか?

それは視聴者の想像力にゆだねられています!

実作講座「演劇 似て非なるもの」プレゼンツ リレーエッセイ『いま、どこにいる?』

https://bigakko.jp/blog/engeki2020_28noguchi

生西康典さんが美学校で行っている講座の「演劇 似て非なるもの」のリレーエッセイに寄稿しました。

生西さんの存在は学生時代からスタジオボイスの記事などで知っていて、映像学科の学生だった私にとっては、とにかく時代の最先端のVJの人、というイメージでした。あと勝手に名前の字面がミュージシャンっぽいと思っていました。

初めて生西さんの作品を見たのは2009年のラフォーレ原宿のイベント。知的で耽美的な作品でもちろん理解できないのですが、そのわかりにくさゆえに想像力をめちゃめちゃ刺激され、光と闇のビジュアルが強烈に残っています。

その後、ありがたいことにご縁を頂き、お会いする折々、クールな中にものすごい熱がある人というか、青の中に赤が燃えているみたいな印象を受けます。あと中国の深山幽谷で漢詩を読んでいる人のイメージもあります。ひょうひょうとしていて風を感じる人です。

『ルンペルシュティルツヘン最後の三日間 オイリュトミーによる試み』終演致しました

『ルンペルシュティルツヘン最後の三日間  オイリュトミーによる試み』へご来場下さいました皆様、誠に有り難う御座いました。

出演者、スタッフ一同より最大限の感謝を捧げます。

舞台芸術を鑑賞すること、並びに舞台創作活動を続けていくことが困難な時代ではありますが、今後とも姿を変え、形を変え、皆様のお近くに出没するかもしれません。

その時はどうぞ宜しくお願い致します。

野口泉

今回、短い稽古期間ながらとても濃い時間を過ごさせて頂きました。三上周子、清水靖恵、二人のオイリュトミストが持ってきてくれる詩や曲のアイディアに「それいいね!それいいね!」と言っていただけの3ヶ月だったような気がします。

終演後はいつでも自分の踊りに満足することはありませんが、コミュニケーションを介した創作の可能性を探るよい旅となりました。結果はどうあれ最後まで一緒に駆け抜けることができて嬉しいです。

関係者の皆様、スタッフとして現場に入ってくださった皆様にも心より感謝致します。

どうも有り難う御座いました。