アスベスト関連の疾患にかかったらまずすること

アスベスト関連の疾患にかかったら、まずすることは労災の申請が可能かどうかの調査です

従事していた職場等においてアスベスト暴露があったことを特定できれば労災を申請することができます。

また、過去居住していた空間にアスベストが使われていた場合、その建物の管理者を特定し訴訟を起こすということも、オーストラリアなどのアスベスト訴訟先進国では一般的だとのことです。その場合ほぼ100%勝訴し、その賠償金を治療費に当てる流れができているそうです。

罹患が判明した直後に、本人が一人で労災の書類を揃えるのは負担が大きいため、以下のような組織に相談されると良いと思います。

アスベスト関連疾患、労災申請などについて詳しいサイト

中皮腫・じん肺・アスベスト センター  http://www.asbestos-center.jp/
アスベスト被害の相談ホットライン 03-5627-6007 午前10時から午後5時まで

独立行政法人環境再生保全機構  https://www.erca.go.jp/asbestos/

尼崎労働者安全センター http://www7b.biglobe.ne.jp/~amasafe/html/index.html

首都圏建設アスベスト訴訟統一本部 http://shutoken.kensetu-asbestos.jp/ 

アスベストについて知る

アスベストを取り巻く現状

アスベストは燃えにくく丈夫で安いため、1970年代以降、高度成長期の街づくりに非常に多く使われました。日本ではその危険性が明らかになった後も使用が続けられ、欧米諸国に20年ほど遅れた2006年に全面使用禁止となっています。

そして今、日本の経済成長を下支えしてきた建設業従事者の多くや、アスベストを使用していた住宅に住んでいた方たちが中皮腫を発症しています。また、作業着の洗濯をしていた家族が間接的に吸引し発症する例も確認されています。今後も2035年をピークに、さらにその数は増えていくと言われています。

記憶に新しいところでは、今年6月の横浜市営住宅の50代女性の中皮腫発症のニュースがあります。また、2020年開催予定であった東京オリンピック、新たな都市部再開発に向け古い建物を解体する中、アスベスト飛散問題は深刻です。そこで危険にさらされるのはまず現場作業従事者です。彼らの安全はちゃんと保たれているとは言い難く、1999年の文京区さしがや保育園での園舎改修時の園児アスベストばく露事件に見られるように、近隣住民が危険と隣り合わせであるということも明白な事実です。また災害時に倒壊した建物から出るアスベストを含む有毒ダスト問題も議論されていません。

アスベストってどんなもの?

アスベストは古代エジプト時代から人類に利用されてきた非常に使い勝手の良い便利な鉱物です。日本では石綿(いしわた・せきめん)とも呼ばれており、1950年代から約50年のあいだ、建物のいろいろな所に大量に利用されてきました。

「アスベスト」という呼び名は無機繊維状鉱物の総称で、その中でも鉱物によってクリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)などに分類されます。

アスベストの便利なところは?

・とても丈夫
・熱に強い
・燃えにくい
・音を遮断する
・値段が安い など 

このように、便利な所がたくさんあったので、大量に輸入し、戦後復興期の日本のまちづくりに役立てました。水道を町中に整備したり、住宅、オフィスビルを作ったりして高度経済成長の下地をつくったのです。

アスベストってどんなかたち?

鉱物標本などで見る事ができるアスベストは何千本もの繊維がよりあわさったものであり、私たちの眼にはふわふわした、あるいは針状の細かい繊維のように見えます。しかし空気中にバラバラに飛びだしてしまうと、アスベストの粒子は 0.02 ~ 0.2 μmのとても細かい粉末になってしまいます。これは髪の毛の5000分の1の大きさであり、私達の眼には見えません

アスベスト(クリソタイル)標本を入れる

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アスベストはどこからきたの?

世界各地にある、アスベスト鉱山から来ました。もともとはこんなかたちの岩石です。→クロシドライト原石 写真
(写真:アスベストセンターより、写真提供INRS)カナダ・南アフリカ・ロシアなどが産地として有名です。採掘されたアスベストは主に船に乗せて世界中に運ばれていきました。港に着いたアスベストはトラックに乗せられて神戸、大阪、埼玉、川崎などの原料加工工場へ運ばれました。そこでさまざまな建材や、布製品に加工されていきました。日本で利用されたアスベストも大半が輸入によるもので、これまでに総計1000万トンに達しています。

アスベスト製品にはどんなものがあるの?

水道管、外壁材、屋根材、各種パイプなどの建築建材、
また布や糸に加工したものは、絶縁体、石綿パッキング、石綿布団、ブレーキライニング、電解隔膜などの原料となりました。(写真:アスベストセンターより)

アスベストの引き起こす病気

鼻や口から吸い込むと、

・悪性中皮腫
・肺がん
・アスベスト肺(石綿肺)

など、重篤な病気を引き起こすことが分かっています。いずれも、アスベストを吸引してから長い年月を経た後に発症する点で共通しています。 

・悪性中皮腫

発症までの潜伏期間:40年程度

治療法:外科治療・抗がん剤治療・放射線治療など

肺は胸膜という膜につつまれていますが、この膜をおおっているのが「中皮(ちゅうひ)」です。この中皮細胞の“がん化”により生じるのが悪性中皮腫であり、とくに胸膜から発生する悪性胸膜中皮腫はアスベストとの深い因果関係が指摘されています。症状は胸の痛み・背中の痛み・呼吸困難であり、また発熱・咳を伴うこともありますが、一方で症状が無く健康診断で胸に水が溜まっていることを指摘されて病気に気づく場合もあります。 

・肺がん

発症までの潜伏期間:30~40年程度

治療法:外科治療、抗がん剤治療、放射線治療

アスベストがなぜ肺がんを起こすのか、その詳しいメカニズムはまだ解明されていません。(近年BAP1という遺伝子が関わっているということがわかってきたそうです)しかし、肺に取り込まれたアスベスト繊維の刺激により肺がんが発生するとされています。ばく露量が多いほど肺がんの発生が多く、またアスベストの吸引に加えて喫煙の習慣が肺がんになるリスクを相乗的に高めることが知られています。症状としては咳・痰・血痰・胸の痛みなどがあげられますが、初期症状は自覚しにくく風邪やたばこを理由に見過ごされる場合があります。 

・アスベスト肺(石綿肺)

発症までの潜伏期間:15~20年

治療法:咳・痰に対する薬の投与、呼吸不全に対する在宅酸素療法など、対症療法

粉塵や微粒子を長期間吸引したために肺の細胞にそれらが蓄積し、肺組織が線維化してしまう「じん肺」という病気のなかで、特にアスベストのばく露を起因としたものをアスベスト肺(石綿肺)といいます。アスベスト粉塵を長期間にわたり吸い込んだ労働者に起こる職業病です。症状は咳・痰・労作時呼吸困難などであり、アスベストのばく露を中止したあとでも徐々に進行します。また、肺がん・中皮腫・気管支炎などを併発することもあり注意が必要です。 

悪性が高いアスベストが50年も使われ続けたのはなぜ?

「安くて便利な素材だったから」という理由です。経済的発展を優先しアスベスト使用を後押しした国と企業、作業従事者はその危険性を全く知らされていなかったという過去があります。

アスベスト吸引から発症までに長い時間がかかることを、国や企業は1950年代以前から知っていました。しかし、将来起こるであろう訴訟費用を考慮に入れても利益の方が格段に高かったため、規制することなく使用を続けました。 個人の健康よりも日本という国の経済発展を優先したのです。それを裏付けるかのように、多くの訴訟を抱えながらも近年過去最高額の売り上げを計上している企業もあります。

アスベストは今も使われているの?

日本においては欧米から20年遅れ、2006年に全面使用禁止されました。しかし、
2012年から2016年に渡り、東京・大阪・神戸の税関をアスベスト名目の荷物が通過していたという毎日新聞の報道もあり、今後引き続きの注視が必要です 。

また、アスベスト使用禁止以降も既存の建物に使われたアスベストが今なお存在しています。
建物の老朽化による解体・撤去時に飛散する可能性も多いにあります。

実際に1995年におきた阪神淡路大震災において、がれき撤去作業に従事した方々の発病・労災認定が、震災後22年経った今になって増えてきています。

2011年の東日本大震災後の大気濃度調査においても、アスベスト除去現場における大量飛散が確認されていますが、環境省は「周辺環境への影響はなかったと考えている」と報道発表しています。

2022年のオリンピック開催に向けて、古い建物はどんどん壊され新しい建物に変わって行くことでしょう。その際に飛散するであろうアスベスト粉塵から身を守る方法を知っておく必要があります。

マスクの有用性について

アスベストの繊維は非常に細かいため、花粉症用などの簡易マスクでは効き目がありません。
アスベスト粉じん用マスクには日本の国家検定 DS2、アメリカのN95があります。
これらはホームセンターやインターネットで入手することができます。
マスク装着後、顔の正面からサッカリンスプレーを噴霧し、口中に甘みが感じられなければ、正しく装着出来ているということです。なかなかマスク使用だけではアスベストばく露は防ぎきれませんが、一つの手段としてご紹介します。